知的財産分野はこれまでに多くの国際条約が締結され、国際交渉での合意内容が各国の制度設計に影響を与えている分野の1つです。近年では、国際公共政策としての議論も行われており、WIPOやWTO/TRIPS理事会、UPOVのみならず、WHO、UNCTAD、UNESCO、FAO、生物多様性条約(CBD)締約国会議(COP)等でも議論が行われています。国際交渉における論点が複雑化し、各国の立場や利害の相違が大きくなるにつれ、多数国間フォーラムでの交渉における対立も厳しくなっており、いわゆる南北対立のみならず、先進国・地域間の対立も見られます。最近では、COVID-19への対応をめぐってTRIPS協定の一定の義務の履行を免除する提案がなされており、2021年11月~12月に開催予定であったWTOの第12回閣僚会合でもその点を議論されることが予定されていました。特に実体的権利を強化する方向での交渉が停滞を余儀なくされている(むしろ権利を弱める方向での議論が行われている)現状を踏まえ、一部の先進国・地域は、二国間・複数国間のFTA/EPAにおいて相手国の知的財産制度の改善・強化を求めるとともに、自国の主張する制度を受け入れる国・地域を増やすことによるデファクト・スタンダード化を目指しています。
本セミナーでは、知的財産分野における国際交渉の論点について、WIPOやWTO/TRIPS理事会といった多数国間フォーラムで行われている議論・交渉における論点を整理するとともに、最近発効したRCEPを含む、日本が関与した主要なFTA/EPAにおける知的財産分野の議論や合意内容をご紹介します。
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開催概要 | |
日 時 | 2022年2月3日(木) 16:00~17:30 |
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開 催 方 法 : | オンラインにて、ライブウェブキャストセミナー(WEBオンラインセミナー)を開催いたします。 会社、ご自宅などWEB環境があればどこからでもアクセスいただけます。 お申込み後、セミナー開始前にセミナー視聴用URLをお知らせいたします。 |
参加費 | 無料 |
お申し込み方法 | お申込み受付を終了いたしました。たくさんのお申込みありがとうございました。 |
プログラム概要 | |
16:00~17:30 | 講師によるワークショップ(質疑応答を含む) |
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【講師紹介】
弁護士法人 大江橋法律事務所
弁護士・ニューヨーク州弁護士・弁理士 小山 隆史(こやま たかし)
1995年神戸大学法学部卒業、1997年同大学大学院法学研究科博士課程前期(修士)修了、1999年弁護士登録。2003年Franklin Pierce Law Center(LL.M. in
Intellectual Property)修了、2004年Royal Holloway, University of London(M.A.)修了。2005年外務省経済局経済連携課(経済連携協定交渉官)、2015年外務省経済局知的財産室長兼内閣官房TPP等政府対策本部交渉官(知的財産分野)。日本知的財産仲裁センター JPドメイン名紛争処理パネリスト候補者、日本国際紛争解決センター事務局次長。主に、知的財産、クロスボーダー取引・紛争、輸出規制、医薬品・医療機器等に関する案件・相談を取り扱うほか、訴訟・行政対応も取り扱う。最近の執筆としては、「ビジネスと経済連携協定(EPA)の知的財産分野の合意」(知財管理、2019)、「TPP及び日・EU経済連携協定(EPA)における地理的表示の保護」(LES JAPAN NEWS、March 2021)がある。
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