BDTIでは昨年、米国の海外腐敗行為防止法(FCPA)や、英国の贈収賄防止法(UK Bribery Act)の実情と考慮すべき防止策をご紹介するセミナーを開催いたしました。今回、さらに具体的で実務的なセミナーにするために、米司法省が、「訴追しない」という判断を下した極めて興味深いケースであるモルガンスタンレーに対し、アドバイスを提供してきたデービス・ポーク法律事務所のセオドア・A・パラダイス弁護士と同事務所のマイルズ・E・ホークス弁護士をメインスピーカーにお迎えします。
パラダイス氏とホークス氏には、(1) 中国の不動産担当幹部が贈賄をめぐる罪を認めたにもかかわらず同社はなぜ訴追されなかったのか、(2) 問題の事前防止、早期発見、事後対応のためにどのような体制を築いていたか、(3) 米司法省への自発的な申告と捜査への協力はどの程度効果があったか、(4) ドキュメンテーション(情報の収集と記録)はどのように役立ったか、(5) このケースから学びとれる教訓は何か、といったことをお話しいただきます。
近年、米司法省はFCPAの施行をさらに厳格にしています。例えばFCPA違反で昨年、ブリジストンがマリンホース等の製品販売に絡む中南米の政府当局者への贈賄を企てた罪を認め、米司法省と和解金2800万ドル(約21億円)を支払うことで合意し、丸紅もナイジェリア政府関係者に対する贈賄に係るFCPA違反で54.6百万ドル(約42億円)を支払うことになっています。
以上の事例から明らかなように、FCPAは多くの日本企業にとって、もはや対岸の火事ではありません。ブリジストンの例は、日本からアメリカ支社の職員に対して指示のメールやファックスを送っていたというだけで、アメリカにおける贈賄行為が成立すると判断されてしまいました。そして、このような厳格化の流れの中で、モルガンスタンレーは、訴追されなかった、という極めて興味深いケースであり、なぜ訴追されなかったかを紐解くと、実効的なガバナンス、コンプライアンスの徹底、継続的な研修プログラム、リスク管理体制や内部統制システム等がいかに重要かが浮かび上がってきます。
モルガンスタンレーのケースとともに、米司法省が11月に、米証券取引員会(SEC)と共同で発表した、米国政府の「エンフォースメントの基本理念」について論じ、遵守に関して有用な事例や仮定を提供する海外腐敗行為防止法に関する包括的ガイダンスもご紹介いたします。このガイダンスは、海外腐敗行為防止法のエンフォースメントに関する法律又は当局の基本姿勢を変更するものではありませんが、海外腐敗行為防止法に関する多数の問題(たとえば外国公務員の定義など)に関する政府見解を理解する上で有用なリソースであり、政府が調査を行ったものの提訴に到らなかった新たな事例を提供しています。
是非、セミナーにお越しいただき実務に役立てていただきたいと思います。
開催概要 | |
出演者 |
セオドア・A・パラダイス 氏 米国インディアナ大学、イエール大学大学院法律学部卒業。ニューヨーク州弁護士会に所属し日本では外国法事務弁護士。近時、日本企業、投資銀行、法律家及び識者に対するドッド・フランク法の影響についての啓蒙活動や、この分野における遵守義務についてのクライアントへの助言を精力的に行っている。M&A、合弁事業、企業金融取引において多くの顧客に助言を行ってきた。また日本の証券発行人や出資者による国際的な公募売出株式の発行・引受業務を請け負ってきた。シティグループの日興コーディアルグループとのジョイント・ベンチャーと、それに続いて行われたシティグループによる日興コーディアルグループ支配権獲得の為の公開買付けでは日興コーディアルグループの米国法顧問を務めた。1991年より現職に至り、一流の弁護士として世界中の多数の法律雑誌に取り上げられている。 マイルズ・E・ホークス 氏 アーラム大学、ワシントン大学ロースクール卒業。ニューヨーク州弁護士。主に日本企業に関わるクロスボーダーM&Aを専門としており、近時の実績にはダイキン工業 によるグッドマン・グローバルの買収などがある。日本語に堪能で、米国政府による捜査に関連して、日本企業及び日本人個人の支援も行っている。 |
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開催日時 | 2013年1月22日(火)15:30 - 18:00 (開場 15:00) |
開催場所 | トムソン・ロイター 赤坂オフィス セミナールーム |
主催 | 公益社団法人 会社役員育成機構(BDTI) |
協賛 | ウエストロー・ジャパン株式会社 |
定員 | 40名 |
参加費 | 5,000円(税込) (一般、非会員) |
お申し込み方法 |
受付を終了いたしました。たくさんのお申し込みありがとうございました。 |
◆お問い合わせ
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