─NECにおける法務部の位置づけを教えてください。
龍田 当社の法務部は「コーポレート法務G(グループ)」と、3つの「取引法務G」に分かれ、全体で約50人が在籍しています。
「コーポレート法務G」では、会社法や金融商品取引法などをベースに、株主総会、取締役会、社内規程、株式業務、適時開示、商業登記などを担当しています。
また、「取引法務G」は、担当する事業部門別に3つに分かれており、関連する取引法や競争法などをベースに、国内外の企業などとの協業、開発、ライセンスなどの取引に関する契約や、訴訟などの紛争にからむ法務サポートを担当しています。
当部では、これらの法務サポートを、トップマネジメント、各事業部門およびスタッフ部門に対して提供しています。また、当社の場合には、特許権、意匠権、商標権など、いわゆる産業財産権の出願・登録、紛争、ライセンスなどを専門的に担当する部門もあり、必要に応じて同部と連携して対応を行っています。
─どのような人材が集まっているのでしょう?
龍田 この分野の経験が長い人が多いですね。私の場合、入社時に法務部に配属され、以来、ほぼ法務部一筋です。菅江もそうですが、部内はやはり法務経験の長い者がほとんどです。
─法情報DBはどう活用していますか?
菅江 取引法務Gでは、担当事業でなにかトラブルが生じそうになったときに使います。似た案件が過去どのように解釈され、裁判でどう決着したのか、法令・判例DBを有効活用しています。部内には、ワーキンググループ(WG)も設けられ、法律についてや学問的な観点から研究もしていますが、そこでも判例を検索します。会社法や倒産法、労働法、競争法などの勉強会もあります。
─WLJを使っての印象はいかがですか?
龍田 従来使用していたDBは判例だけでした。WLJは法令DBまでセットになっているので、判例から、リンクで法令条文に飛べて便利です。『判例タイムズ』の記事をPDFで読める点もいいですね。
菅江 ちょうどWGで倒産法に関する判例を調べていて、高裁で差し戻された後、どうなったのか不明だったのですが、WLJを使ってみて「ああ、上告受理申立をしたか」とすぐわかったことがありました。判例の「現時点のステイタス」がわかるのは便利です。またウエストローのコンサルタントに操作説明会を開いていただき、思いつきもしなかった方法やテクニックを教えていただきました。キーワードの入れ方の工夫ひとつで、検索の正確性が飛躍的に高まるのを実感し感動しました。
龍田 私の場合、法令検索で最初、検索結果がたくさん出てくるので、どれを選んでいいのか迷いましたが、説明会で「目次」の出し方、「法改正履歴」や「新旧対照表」の読み方などを教えてもらい、活用できそうです。以前のDBを約10年使い、正直DBには効率性を求めていませんでしたし、「他社サービスも似たり寄ったりだろう」という思い込みがありました。WLJは、活用すればするほど、色々効率化がはかれそうです。今後も定期的にウエストローのコンサルタントの方に説明会を開いていただければ、活用範囲も更に広がりそうです。
─WLJに何か要望はありますか?
龍田 WLJを選んだ理由のひとつは、判例の情報量の多さです。情報量が豊富な半面、パッとすばやく知りたいときには、インターネットの検索エンジンを使ってしまうことがあります。しいていえば、本格的にではなく、ちょっと調べたいときに使える簡易検索モードのようなものがあればよいかと思います。
─変化が激しく、紛争も多いIT業界ですが、法務部は現在どのように対応を?
龍田 IT分野は新しい紛争が多いので、過去判例が役に立つとは限りません。いったんトラブルになると弁護士にお願いすることがやはり多く、法務部はトラブルになる前、予防法務の段階での対応を重視し、紛争になる前の予防としてWLJを有効活用しています。また、アラート機能をお知らせ機能として、判例法令両方の面から活用することも考えています。
IT業界は変化が早く、技術も専門的なので、法律の専門家に対して、“通訳”になることも法務部の役割です。専門委員制度が発足したとはいえ、裁判官にどうわかりやすく訴えかけるかは重要なポイントです。そのためにはまず、弁護士に、技術や事業内容について十分納得してもらう必要があります。
─今後の法務部像についてお聞かせください。
龍田nbsp; 現在は一般的に、法務への社内外の期待が高まっています。以前よりはるかにしっかりコンプライアンスを押さえつつ、営業活動を推進し業績を上げるよう、求められています。グループ会社を含め、いかに法務機能を連携させて、本社に集約し効率を高めるかが課題です。
菅江 グループ全体へ的確な法務サポートを行うに際しても、法情報DBによって得られる情報を有効に活用することができると思います。
(※敬称省略)