Westlaw Japan 導入事例Westlaw Japan 導入事例/河合敏男法律事務所, 河合敏男 弁護士

1日かかっても探せなかった情報が数分で検索できる。欲しい時に欲しい情報が手に入り、精神的にも楽ですね。

建築紛争の第一人者として 公的活動にも多くかかわる

― 河合先生といえば、欠陥住宅などをめぐる建築紛争の第一人者として著名です。
     まずは、この分野を手がけられた経緯からお教えください。

河合  最初に勤務した法律事務所の先輩に、建築紛争を多く手がけている木村孝先生がおられました。当時私は、日弁連のコンピューター委員会の委員長を務められたこともある木村先生にパソコンの教えを請うていましたが、物理工学系が嫌いではなさそうだということで目をつけられ、私が誘われたというわけです。木村先生は「欠陥住宅を正す会」の副代表幹事として活躍しておられ、私も参加することにしました。当時、欠陥住宅を専門に扱う弁護士はほとんどいませんでした。

― 「欠陥住宅を正す会」とは?

河合  79年に、大阪弁護士会の澤田和也先生が設立した消費者団体です。実は、澤田先生ご自身が欠陥住宅の被害者であった経験から、建築紛争は専門知識が要求される分野であり、弁護士一人では太刀打ちできない、という現実を知って、弁護士と建築士の二人三脚で相談を受けられる態勢が必要だということから、この会を立ち上げられたわけです。現在は、そのほかに「欠陥住宅全国ネット」という日弁連消費者委員会の土地住宅部会のメンバーが中心となって作った団体もあり、弁護士のほかに建築士や学者、被害者も会員に加えて、個別相談やシンポジウムを開催するなどの活動をしています。

― 河合先生ご自身、欠陥住宅問題を手がけられてどんな感想をお持ちですか?

河合  95年の阪神淡路大震災の直後、相談者が殺到しました。その時、いかに多くの隠れた被害者が存在したのか、そして相談の行き場がなく悩んでいたかということ、この分野の消費者被害としての重要性などを実感しました。そうした思いから、現在まで個別の事案以外に日弁連消費者委員会や欠陥住宅全国ネットの一員として国への政策提言や法改正への意見書提出といった公的活動も多く手がけるようになりました。建築に関わる制度改革などがあると、それに関する仕事が次から次にやってきて非常に忙しくなりますね。実は、弁護士としては建築紛争だけでなく、違う分野の事案もいろいろ手がけたいのですが、どうしても建築紛争事案の比重が大きくなってしまいます。

「過去法令が網羅された」〈Westlaw Japan〉に引かれる

― そのようにお忙しい河合先生ですが、〈Westlaw Japan〉を使いこなして頂いていると伺っています。
     お使いになった第一印象はいかがでしたか?

河合;  当時は、営業の方に案内されるまで全く知りませんでした。また判例しか見られないのならば、建築関係であれば主な判例は知っているので不要と思ったのですが、「過去の法令も検索できる」と聞いて大変興味を持ちました。というのは、建築紛争は建築当時の建築基準法などの法令が瑕疵の基準になるのですが、過去のある時点での法令を調べるのが一苦労だったからです。過去の法令が網羅されているのであれば、利用する価値はあるだろうと思いました。

― 過去の法令を調べることが、それほど重要だったのはなぜでしょうか?

河合  法令は改正日だけでなく、施行日が重要なわけですが、六法全書を見ても、どの条文はいつから施行されたかがきわめてわかりにくいのです。条文の附則には「施行日は政令に定める」としか書かれておらず、その政令を探して、施行日を特定するのが非常に大変でした。しかも、建築基準法関連の法令は頻繁に改正されるのです。〈Westlaw Japan〉を使ってみると、何年時点の建築基準法の何条に何と書いてあるかというところにサッといける。施行日までカバーしているので、これは便利だと思いましたね。

― それまでは、どのように調べていたのでしょうか?

河合  『建築関係法令集』を買い揃えて、それで調べていました。しかし、法令だけでなく下位法令なども調べる必要があり、過去の法令で事務所に備え置いてない場合は弁護士会館の図書館を利用します。それでもすぐ手に入らない時は、「欠陥住宅全国ネット」のメーリングリストで尋ね、該当する部分をファックスで送ってもらったりもしました。

六法全書や判例集がわりに使いこなす

― 〈Westlaw Japan〉は、主に法令を調べるのにお使い頂いているのでしょうか?

河合  建築分野の個別の事案にかかわる際や、六法全書がわりにも使っています。週2~3回は使っているでしょうか。判例検索は主に建築分野以外の事案の場合に使っていますよ。判例は要旨がどれだけ充実しているかがこういった情報ツールの価値を決めると思いますが、〈Westlaw Japan〉は定評のある新日本法規出版の情報が使われているので信頼できると思います。

― 判例検索ではどのようなところに利点を感じられますか?

河合  検索すると下級審の判例まで出てきて、調べ漏れするリスクを防げるのもありがたいですね。ただ、検索条件を的確にしないと、余計なものまで大量に出てくるというマイナスはありますが。
判例の目次から主文にすぐリンクで飛ぶことができるのは時間の節約になりますし、検索結果を全画面表示すると見やすくなるところもいい。
また、関連判例にリンクできるのも便利です。目的のものを効率的に拾えますから。機能がどんどん進化して、さらに使いやすくなるのもいいですね。パソコン操作が好きか嫌いかで分かれるとは思いますが、私の場合、遊んでいるうちにいろんな機能を覚えて知らぬうちに使いこなしているという面があります。

― そのほか、便利だと思われる機能はありますか?

河合  アラート機能(自動検索配信)は便利ですね。建築基準法関係の動きは常にキャッチアップしていたいと思っていますが、頻繁に改正される上に下位法令などは知らない間に改正されている場合が多く、自力では限界があります。そこで、「建築基準法」というキーワードで関連する判例や法令が自動的にメールで配信されると非常にありがたいですね。

図書館に行く手間も省け精神的にも楽に

― 〈Westlaw Japan〉の導入により、実際どれぐらい業務は効率化しましたか?

河合  劇的に改善したと思います。それまでは、1日かかっても探し出せなかったり、手に入らないこともありましたが、Westlaw Japanならものの数分もかからず調べることができますから。図書館に行く手間もだいぶ省けるようになりました。欲しいときに欲しい情報が手に入るのは、精神的にも楽ですね。

― 今後の展望についてお聞かせ下さい。

河合  長年建築紛争に関わっていますが、日本の建築制度は欠陥だらけです。行政は業者監督に意欲的な姿勢が見られないし、建築業界では欠陥住宅がまかり通るという悪しき慣行が当たり前になっています。諸外国にも視察に行きましたが、例えばアメリカのロサンゼルス市には工事の重要工程でインスペクターと呼ばれる市の検査官が検査を行い、不備や不良箇所がないことを確認したうえで次の工程に進むことを義務づける公的検査制度があります。こういったものを日本にも積極的に紹介して整備を促すなど、少しでも日本の住宅を良くしていければよいと思っています。

― どうもありがとうございました。

(※敬称省略)

 

河合敏男法律事務所/河合敏男 弁護士
河合 敏男 氏
<略歴>
1982年 早稲田大学法学部卒業
1987年 第二東京弁護士会弁護士登録
日弁連消費者問題対策委員会土地住宅部会部会長
第二東京弁護士会住宅紛争審査会運営委員会委員長
国民生活センター紛争解決委員会特別委員
日弁連住宅紛争処理機関検討委員会委員長など歴任
<主な著書・共著>
欠陥住宅は、なぜつくられるのか(岩波書店)
欠陥住宅被害救済の手引き(民事法研究会)
家づくり安心ガイド(岩波書店)ほか多数

 

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