― 新61期の修習を終えてすぐに、お二人とも開業されていますが?
佐藤 父が3年前に引退し、いきなり事務所を引き継ぐ形で独立しました。ボス弁や同僚がいるわけでもなく、事務的なことも含めて一切を一人で仕切っているため、日々時間に追われています。
本田 私の父はまだ引退していませんが、状況はほぼ同じです。他の同期と異なり、かなり特殊な状況だとは思います。
佐藤 私たち新61期あたりから弁護士は溢れている状態で、横浜地区でも就職はかなり厳しいようです。
本田 私は、2008年12月中旬に弁護士登録したんですが、弁護士になった実感として、それほど仕事がないという感じはしていません。
佐藤 そうそう。実際仕事は多い。
本田 横浜という土地柄もあるのか、個人や中小企業の依頼者が多く、相談内容は本当に多岐に渡ります。毎日何かしら初めての案件が降ってきます。(笑)
佐藤 最近は特に相談内容が多様化しているようで、ベテランの先生方に聞いても初めてという案件も少なくない。
独立当初はとにかく大変で。何をやるにもすべて自分に降りかかる状況では、一つのことを調べるにしても数倍時間がかかっていました。
― 弁護士業務と経営実務の両立は時間的にも大変だと思いますが、その点工夫されていることは?
河合 まずインターネット上で情報収集をして、おおよそのあたりをつけた上で、細かい情報などを知り合いの先生方に聞いたり本で調べたりしています。インターネット上の情報は、正確性の問題はありますが、すぐに欲しい情報が見つかるので効率という点では非常に有効。世代ということもあるかもしれないが、疑問に思ったら即インターネットで検索しています。弁護士の先生方のホームページやブログなどもよく参考にします。依頼者の方向けの情報提供や実務など、参考になる情報はかなり多いですね。
佐藤 私もよく見ますね。(周囲は)誰でもやっていますよね。
本田 インターネット情報は、すぐに書き換えられ、また訂正後も告知されないことも多いので、怖さも感じてはいますが、速さと手軽さという点では勝るものはないですね。
佐藤 手元にPC画面がありますから、疑問が生じた瞬間に検索していますね。
本田 全く意識せずにやっている。(笑)
佐藤 まずネットで検索して、確証が欲しければ本で確認して、さらに知り合いの先生に聞く、という流れですね。本とインターネット情報は併用しています。
― そうしたネット上の情報や人的ネットワークと〈Westlaw Japan〉とは、どのように使い分けていますか?
本田 (訴訟となれば)相手方事務所や先生も当然気になります。〈Westlaw Japan〉は弁護人名も掲載していますよね。
佐藤 私も訴訟が前提の場合が多く、裁判官情報も参考にします。例えば、交通事故でも被害者が特殊な疾病を患っている場合に、過去にその病気について認定した判例があるかどうか、どの裁判官か、どのような判決内容か、といったことは調べます。少しでも有利な情報があれば、知っておきたい。この段階では法律構成はほぼ固まっていますから、より具体的に実際の判例がどうなっているのか裏付けを強固にするのに活用しています。
佐藤 基本的に訴訟はしたくないのですが(笑)、実際に訴訟に発展してしまうケースは非常に多いです。話し合いの過程でも、「こちらに分があるかどうか」は少しずつ判例で確認しています。実際に訴訟しかないとなると、〈Westlaw Japan〉で関連判例を徹底的に調べ、今度はかなり真剣に読み込みます。
― その他どのような機能を使いますか?
佐藤 論点を細かく調べたいといった場合に、判例からリンクして評釈を見ることもあります。つい最近、過払いに関する重要判例が出たんですが、実は今日もリンク機能を使ってその評釈を見ていました。過払いの訴訟というのは、その当該判例の論点からさらに遡って考えていかないといけない事案に膨らんでいくんですね。そうすると当該判例だけでなく、関連する判例も問題になってきますし、さらにその関連判例がどう考えたのかというのを評釈でも読みたくなる。さらに理解が深まったところで、当該判例に立ち戻って再度論点を確認する、という作業の繰り返しです。大抵、本文中に過去判例へのリンクもありますから、すぐに確認することが出来て便利です。
― 法情報検索サービスに求める条件は?
本田 判例検索に関しては、量が多いにこしたことはないが、逆に多すぎても効率が悪いと思います。
佐藤 確かに量が多すぎると逆に見なくなってしまうということはあります。
本田 私は、ロースクール時代にいくつか複数の法情報サービスも使っていました。感覚や個人の好みもあるので一概には言えないのでしょうが、自分が入力しているキーワードで想定している判例が出てこないことが多く、結局使わなくなってしまった経緯があります。
― 〈Westlaw Japan〉導入後の使用感や効果はいかがですか?
佐藤 いかに絞り込めるかが重要かと。キーワード1語だけで調べると莫大な件数となるので、こういう調べ方をする人はあまりいないのでは。例えば「立ち退き料×賃貸借×正当事由」といったように条件を絞り込んで検索をするのが現実的です。かといって、特定すぎるキーワードを入れると検索結果から漏れてしまう可能性もあります。キーワード検索の精度が高いとより助かりますね。
本田 やはり効率がいいというのを実感しています。また、〈Westlaw Japan〉は場所を固定しないですから、パソコンと携帯電話さえあれば、街中であっても判例も法令も見られます。その点も便利ですね。先日も、自宅で夜中にふと思いついたことがあって、すぐにその場で〈Westlaw Japan〉で判例をいくつか探し出せた、ということがありました。本だと持ち歩かないといけなかったり、事務所に行って調べるまでずっと気になったりしますから。
― 今後の展望をお聞かせください。
佐藤 引き継いだ顧問業務のほか、事務所の立地柄、司法書士の先生や不動産会社、先輩の弁護士先生方からの紹介など、相談ごと自体は大変多いですが、経営という点ではまだまだやるべきことは多いので、早く軌道に乗せたいですね。
本田 弁護士として早く十分なスキルを身につけたいと。そのためにも、今はどんな事件でも依頼でも、とにかく前向きにぶつかっていきたいと考えています。ウエストローさんの製品は、そのための道具として使わせて頂いていますので、とてもありがたいと思っています。
― どうもありがとうございました。
(※敬称省略)