WESTLAW INTERNATIONAL 顧客事例WESTLAW INTERNATIONAL 顧客事例:成城大学

キャリア28年の〈Westlawの達人〉が指南する、正確で漏れのないデータベース検索術

リーガル・リサーチのニーズと大学法学資料室の役割

―法学資料室の役割とは何でしょうか?

隈本  成城大学法学資料室は、リーガル・リ サーチに関する教員、学生などへのサポートを 行っています。法学教育では、教科書や教材な どを使って筋道を立てた法的思考、すなわち 「答えの出し方」を教えますが、その前提になる 「情報の収集と判断のプロセス」、つまりリサー チのスキルを教えるところは多くはありませ ん。また、法学教育でも、「プレゼンや論文の書 き方を教えてほしい」というニーズが高まって います。法学資料室は、「法律情報の入手・整 理・出力」という法的思考の営み全般の基礎と なる部分をサポートしています。アメリカ留学 時に草創期の〈Westlaw International〉に接し てその可能性を感じ、1985年に成城大学に導入 していただきました。〈Westlaw International〉 をはじめとするデータベースをいかに使いこ なすかが、法的思考の質を左右することにな ると考えたためです。

「Googleだのみ」の落とし穴とデータベースの特性を知ろう

―よいリサーチのために必要なことは何でしょうか?

隈本  企業法務などの現場でのリーガル・リサーチ担当者にとっては、毎日が「待ったなしの勝負」の連続でしょう。全く未知のテーマを与えられ、判例や先例はどうか、反対意見、少数意見の状況は……論点についての判断材料を、正しく、もれなく探し出さなければならないので大変です。インターネットの発達で、リーガル・リサーチのプロセスは大きく変わりました。日本でも裁判所サイトの判例情報や立法・行政などのオフィシャルな法情報ドキュメントがウェブサイトに掲載されつつあります。それらをGoogleなどの検索エンジンを使って探すことに慣れている私たちですが、注意すべきことが2つあります。ひとつは、検索エンジンでは検索語がヒットした「部分」しか見えず、目指す資料として正しいか、漏れがないかの判断は、それだけではできません。その法分野の体系を頭に入れておくことが必要です。かつて、リサーチの対象はすべて紙媒体でした。 紙媒体の資料は全体を見やすく俯瞰でき、その法令や判例が生まれたプロセスや位置づけといった体系がつかめる特長があり、リサーチの「方向感」が養えたのです。データベースを使う実務の基礎としても、全体像を知ることは大変重要なスキルです。2つ目は、同じキーワード検索でもGoogleと〈Westlaw International〉などのデータベースでは仕組みが違うということです。Googleの検索順位に関係するページランクは、参照数と被リンク数などを掛け合わせたもののようですが、法学データベースではユーザーによって求めるものが全く異なるため、余計なバイアスは少ないといえます。データベースで検索されたリストは等価ですので、順位にとらわれずに内容を検討することができると同時に必要なのです。それが、正確なリサーチの第一歩です。かつて紙媒体だったアメリカの判例集〈National Reporter〉を、現在では〈Westlaw International〉で検索することが多くなっていますので、後で触れる「アタリのつけ方」と合わせておぼえておくといいでしょう。

検索数を効率よく絞り込む工夫が、「よいリサーチ」のコツ

― データベース検索ではどんな工夫をしたらいいのでしょう?

隈本 「網のかけ方」、つまり検索対象の設定と絞り込みがとにかく大切です。キーワード検索の場合は検索結果が30件程度に絞られるようにして、その内容を読んで必要な情報かどうかを判断する方法をおすすめします。絞り込む方法としては、日付検索で新しいものから順にとるのも有効ですし、タイトルのみの検索か、全文から検索するかなど、検索の対象を限定して絞り込むのもいいでしょう。

― 検索がうまくいかないときの対処は?

隈本  求める情報が得られない、逆に必要のないデータばかりが出てくるとき、何が間違いの原因なのかを考えます。検索の目的のイメージが持てずに、検索が絞り込めていない場合、または絞り込むキーワードが少ないためにたくさんヒットし、検索結果からの選択で迷うような場合が考えられます。(Westlaw 注 やや高度なテクニックになりますが)検索式を使って目的を絞ると、さらにデータベースを有効に使いこなすことができます。たとえば、単語の文字数の範囲を予測して、それを検索式化してしまえば、かなり効率的に絞り込めます。【例1】「青色発光ダイオードに関するアメリカの判例を調べたい」場合、“blue diode”だけでは候補がたくさん出てしまいますが、調べたいテーマ「特許に関する問題」の条件をクロスさせれば、さらに絞り込むことが可能になります。【例2】「インターネット詐欺についての判例を、州・連邦を問わず調べたい」場合、“Internet flaud”のキーワード検索ではたくさんヒットします。Internetとflaudの間に他の単語が入った関係ない言葉も混ざって、精度が下がっている場合があります。これを防ぐには、語数に着目します。「3語以内に含まれるものに限定」と検索式を設定すると、目的のセンテンスのみが残ります。「コンピュータに関する○○」というような言葉であれば、10語以内で収まるだろう、という「アタリ」をつけるのです。このワザで、かなりの効率アップが図られます。逆に検索結果が少ない場合は、検索語が適正かどうかチェックするといいでしょう。たとえば「フィッシング詐欺」とは魚釣りの“fishing”だと思いがちですが、実際のつづりは“phishing”です。また、英語に不慣れな人の場合、単語の変化形を考えずに、あるいは限定しすぎて検索していることも
よくあります。

Westlaw International Directory 画面

データベースを使うことで未知の分野も自在に検索可能

― 未知の分野のリサーチの場合、どこから手をつけていいか悩むのですが。

隈本  私の専門は刑事法ですが、法学資料室には当然、民事法や会社法、知的財産法など専門外のリサーチのリクエストもあり、弁護士など実務家教員からは、ごく短時間で結果を出すよう求められることもあります。「知らない分野」を調べるときも、体系を知ることが早道です。<Westlaw International> の「AmericanJurisprudence」では、その分野の全体構造と、およその判例の流れを俯瞰できるので、より有効な検索語や検索対象のデータベースを決める手助けになります。あとは引用判例を芋づる式に探していけばいいのです。どんな法分野の問題かが不明の場合にも、論文データベースにキーワードを入れて検索し、出てきた論文に目を通してみると問題状況が見わたせ、リサーチの方針を立てやすくなります。「知らない国」についても同じ方法が使えます。資料室の仕事柄、ヨーロッパ各国の判例資料を扱うことが多いのですが、土地勘のない国もあります。たとえば「オランダの判例を探す」場合、WestlawのEU関係の判例データベースを使う方法もありますが、アメリカの研究者による論文データベースから探してしまう手もあります。別なソースを使うことで、逆にそれまでの検索が正しいかの確認もできるわけです。このようにデータベースを使っていると、論点の分野番号がついた「KeyNumber」や 判例・法令の有効性が確認できるKeyCiteといった優れた検索機能もさることながら、使い勝手については、データベースのディレクトリ構造そのものの出来が左右していることがわかります。Westlawのデータベースは、他社製品に比べてこの基本部分が群を抜いてよくできており、それも私が28年にわたって信頼を寄せている大きな理由なのです。

(※敬称省略)

 

成城大学 法学資料室/隈本 守 氏
成城大学 法学資料室
隈本 守 氏 (くまもと・まもる)

 

» Westlaw International 導入事例 一覧

▲top