総合法政策研究会誌
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目次
【招待論文】
- 分配的正義と租税法律主義――私的所有への租税侵害の正当性―― 伊藤恭彦(名古屋市立大学大学院 教授)(1)
公開日:2021/3/23
- 〔要旨〕
租税法律主義は現代租税法の根幹となる原理である。政府の徴税権を縛り国民の財産を守る上で租税法律主義は重要な役割を果たしている。しかし、租税が国民の財産権を侵害するとの理由から租税法律主義が要請されるとの理解は一面的だといえる。本稿では市場社会における私的所有権が所有者と所有物との関係ではなく、所有者と所有物との関係を社会的承認する規範と捉え、社会的承認プロセスの中に分配的正義という規範を位置づけ、租税法律主義の別の重要性を論じる。租税はその社会で共有されている分配的正義に従って、財産の分配状態を是正する手段なのである。租税法に従う納税という手続きを通して、社会の財産分配が調整されると同時に各人の財産も社会的に正当化されるのである。
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【研究論文 】
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- 問屋を利用した輸入取引に対する消費課税
―VAT指令及びイギリス法を参考として― 中村繁隆(関西大学大学院 教授)(20)
公開日:2021/3/16
- 〔要旨〕
本論説は、問屋を利用した輸入取引における消費税法上の課題に対する解決策を検討するものである。具体的には、わが国の消費税法上、問屋取引に対する別段の定めがないため、問屋取引における納税義務者は委託者だけでなく、受託者である問屋となる可能性がある。すなわち、問屋取引における納税者の予測可能性を欠く状況にある。
ここで、EUに目を転じてみると、VAT指令は、わが国の問屋に相当するCommissionaireを利用した取引に対する14条2項(c)の特則を有している。また、イギリスのVAT法も、VAT指令14条2項(c)を国内法化した47条2A項を有し、かつ、輸入取引に関しては47条1項及び2項を有している。
本論説における分析から、わが国にとっては、イギリスのVAT法47条1項、2項、2A項における取扱いが有益であるとの示唆を得た。これらの規定をわが国の消費税法へ取り込むことによって、問屋取引における納税者の予測可能性が向上し、ひいては、クロスボーダー取引において有用とされる問屋取引の利用促進も期待される。
【特集】
- 第1回ローカルガバナンスフォーラム
都市公共政策と法
―持続可能な社会の構築のために― 総合法政策研究会(54)
公開日:2021/3/31
- 〔要旨〕
本フォーラムでは、都市公共政策の観点から、伊藤恭彦(政治学)が「都市の正義と公共政策」と題した基調講演を行った。また、小林直三(憲法学)が環境保護について、塩見佳也(憲法学・行政法)が公私協働に基づく都市計画について、大江一平(憲法学)が外国人の人権について、中村隆志(政治学)がシティズンシップ教育について、それぞれ報告を行った。
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【編集後記】
- 編集後記 小林直三(名古屋市立大学大学院 教授)(69)
公開日:2021/3/31
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※著者の所属は発行時のものです。