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第66回 祇園祭と公益法人改革法

苗村法律事務所※1
弁護士、ニューヨーク州弁護士 苗村 博子

私は京都生まれの京都育ち、今も京都から大阪の事務所まで通っている。京都と言えば、そろそろ祇園祭の鉾立、お囃子の練習が始まる。我が家でも毎年知り合いの方から頂くちまきを玄関にかけ、「蘇民将来(そみんしょうらい)」の子孫であると、素戔嗚尊にお知らせしている。祇園祭りは、八坂神社の祭神、素戔嗚尊が疫病などの災いをなさらないようにとあがめるお祭り。蘇民将来は、素戔嗚尊に一夜の宿を貸し、歓待した貧しい人であったが、それを喜んだ素戔嗚尊は、災いをなすときも、蘇民将来の子孫は除くと約束されたとの伝説に基づき、京都の人は、「蘇民将来」の子孫であると書かれたちまきを飾り、茅の輪を玄関に掛ける。

山鉾は、鉾立が始まるまでは、八坂神社の中のちょっと無骨な倉庫に眠っている。昨年12月1日から施行された公益法人等改革関連3法に合わせ、祇園祭山鉾連合会や各保存会が、山や鉾をいくらと評価するかに苦慮されていることが、昨夏新聞紙上をにぎわした。山鉾巡行で先頭を行く長刀鉾は3億円、函谷鉾は2億円という財産目録上の価値を時価に改めるという方針の下、作業が進められたようであるが、今年の目録には如何に算定されているのだろうか?

京都の公益法人と言えば、今世間を騒がせているのは、漢字検定協会。理事長、副理事長が背任行為の疑いで起訴された。現在は特定民法法人ゆえ、監督官庁は文科省、その監督基準である公益法指導監督基準も特には、まだ変更されていない。しかし、昨年6月、本年2月の同省の立入調査の厳格さは、改革関連法の趣旨を見据えたものではなかったか。結局本年の立入調査で、漸く問題点を把握した理事会が調査委を設置、同会の実態が明らかとされた。調査委の報告書では、監事の監視が十分で無かった点は、指摘されているが、他の理事には、監視についての自覚が十分でなかった旨述べられるに留まっている。

非営利法人の統治機構については、まだまだ株式会社のように整理されておらず、牽制機能が十分でないことが、改革関連3法の制定の第一の理由である。現在の特定民法法人の理事や監事に、株式会社の各機関と同様の責任が課せられるのか?わたしも2つの財団法人、NPO法人の監事を務めている。いずれも志高い法人で、喜んでお引き受けしたが、その責任の重さを痛感する今日このごろである。

(掲載日 2009年7月6日)

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