判例コラム
(旧)コラム

 

第12回 021と507の狭間で

成城大学法学部教授
成田 博

周知のように、わが国における図書の分類については、デューイの分類(DDC=Dewey Decimal Classification)を基礎とした「日本十進分類法」が一般的である。これは、すべての書物を総記(0類)から文学(9類)までに分類するものであるが、現時点においては、こうした分類方法が、知的財産権法に関する限りは適切さを欠いているように思われる。

たとえば、成城大学の図書館で半田正夫先生の『著作権法概説』を借りようと思ってコンピュータで検索すると、その番号は021.2/H29となっている。しかるに、同じく著作権法をその中に含む渋谷達紀『知的財産法Ⅱ』は、というと、507.2/SH23/2になっている。「知的財産」といった途端に番号は変わって、500番台になるわけである。「工業所有権法」「特許法」「商標法」「意匠法」はすべてここに属する。さらに、不正競争防止法は、というと、600番台の番号が振られている。言うまでもないことであるが、法律学は300番台であるから、これらはみな、法律の書物とは関係のないところに置かれていることになる。

というわけで、知的財産権法を専攻すると、それだけ図書館の中を歩きまわらなければならないから、足腰が強くなって健康にはいいが、まさかデューイの分類が知的財産権法研究者の健康に配慮して作られたわけではないだろう。 成城など、キャンパスが小さいから、それほどでもないが、大きい大学では、図書館の往復だけでも大変だと思われるところへ持ってきて、自分の探す書物がいろいろなところに散らばっていては限りなく時間のロスである。

そうは言っても、今から図書館が購入する書物を同じ場所に集めてくれと要望を出してみたところで、その新しい分類にどういう番号を割り振るのか、という問題にぶつかる。それに、既に購入済みの本については問題の解決にはならない。一度、番号を振り、ラベルを貼った図書の番号を変更することなど、容易にできることではない。

しかしながら、「知的財産権法」というふうに括られる領域の書物が益々増加している現状を考えれば、図書館の分類方法について、何らかの工夫があって然るべきだと筆者は思うのである。専門分野に特化した図書館の充実という方向が望ましいということになれば、なおのこと、分類方法を再検討する必要性は高くなるのではなかろうか。

(掲載日 2008年6月2日)

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