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第8回 先願発明特許を証拠として登録意匠を無効に

中国国際貿易促進委員会特許商標事務所※1
弁理士 郭小軍

中国においても、「先願発明特許を証拠として登録意匠を無効に」することができるようになった。ただし、これは、当該発明特許出願又は発明特許の図面が、無効にしようとする登録意匠を明瞭かつ直接に開示していることを前提としている。中国国家知的財産権局特許審判委員会による2007年2月27日付け第9556号《無効審判請求査定》によると、先行して開示された発明特許の図面を、登録意匠を無効にするための証拠とすることができ、さらに、発明特許の明細書がその図面によって開示された意匠の解釈に用いることができることが明確にされた。

上記《無効審判請求査定》によると、特許審判委員会は、次のように考えていることが分かる。
(1) 引用文献の図面及び明細書は当該製品の構成及び組立方について明瞭に説明しており、当該引用文献に開示された内容によりその製品の組立後の意匠が完全に捕らえられるため、本登録意匠と類似性を対比することが可能である。
(2) 本登録意匠は出願日より前に開示の、特許法第23条※2に規定される要件を満たさない。

上記《無効審判請求査定》にいう「本登録意匠」は2003年10月8日付けで公告、登録された、名称が「ランプ(120V 20W カビネット用小型ランプ)」である03328106.8号登録意匠である。前記引用文献は2002年12月10日付けで公告、登録されたUS6,491,413B1号発明特許である。引用文献の図1は解体斜面図であり、カビネット用ランプの四つの主要部材、即ち、カバー、反射器、第三部材、密閉ケーシングが順番に示されている。図2は前記第三部材の背面斜面図である。図3は解体斜面図であり、前記カビネット用ランプが壁に取り付ける解体斜面図であって、その反射器と第三部材とが既に組立てられている。前記引用文献の明細書には前記カビネット用ランプの各部材の位置関係及び組立関係が詳細に説明されている。

特許審判委員会の判断によると、引用文献の上記図1、2、3及び明細書は当該製品の構成、如何に組み立てるかについて明瞭に説明しており、当該引用文献に開示の内容により当該製品の組立後の意匠が確実に捕らえるため、本登録意匠と類似対比することが可能であり、また、本登録意匠と引用文献とは全体的に類似し、特許権者が主張した細部の相違は二者の全体視覚に顕著な影響を与えない。従って、本登録意匠と引用文献とが類似しており、03328106.8号登録意匠は無効である、と審判した。
特許権者は上記決定を不服とし、北京市第一中級人民法院に提訴したが、特許審判委員会の審決は支持された。

上記ケースから分かるように、先行の発明特許の分解斜面図が無効審判請求しようとする登録意匠を直接には開示していないが、明細書の図面への解釈によって、当該発明特許の図面に開示の当該製品の組立後の意匠が明確に捉えれば、当該発明は無効審判請求の有効な証拠にすることができる。

(掲載日 2008年5月5日)

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