WestlawJapan
LawReview
WestlawJapan LawReview

 

総合政策研究会

 総合法政策研究会誌 第1号 2018年3月28日発行

(本誌全体をご覧になるには上のリンクをクリックしてください。)

目次

 

【巻頭の辞】

  1. 『総合法政策研究会誌』発刊にあたって 小林直三(名古屋市立大学大学院 教授)(1) 公開日:2018/3/28

【研究論文 】

    1. スピンオフ税制の今後の方向性 ―Partial Divisionへ拡張されたEU合併租税指令による検討― 中村繁隆(関西大学 教授)(3) 公開日:2018/3/28
    2. 〔要旨〕 本論説は、わが国のスピンオフ税制の今後の方向性について、EU域内における国際的組織再編税制に関する合併租税指令(以下、MTD)を参考に検討したものである。スピンオフの本質的要素による定義付けとMTD4条2項(b)(PE帰属要件)の組み合わせというMTDの方法は、わが国にとってアメリカ法以外の新たな選択肢となり得ると考える。PE帰属要件とは、国際的組織再編成に係る資産負債がEU加盟国の恒久的施設(PE)に留まる場合のみ、法人段階における課税繰延を容認する要件をいう。 また、スピンオフはあくまで組織再編税制の一取引であるから、合併や株式交換など他の組織再編成にも同様に適用されるべきである。もしMTDの方法を組織再編税制全体に適用する場合には、合併等の各取引の本質的要素による定義付けに加えて、PE帰属要件については、法人税法62条の2、62条の3、62条の4の各規定に、各再編成取引時点で移転される諸資産及び諸負債の定義を追加することになろう。

【研究ノート 】

  1. 混合政体としての議会制民主主義に関する一考察 ―代表制をめぐる政治思想の観点から―中村隆志(東海大学 助教)(26) 公開日:2018/3/28
  2. 〔要旨〕 本稿は、代表制をめぐる政治思想を参照しつつ、議会制民主主義に関する意味づけを捉え直すとともに、そのことを前提とした政治システムのあり方の1つの可能性を提示するものである。 選挙によって選出された代表者が統治権力を行使する議会制民主主義は、民主的要素と非民主的要素を兼ね備えた混合政体といえるものである。それには、政治的決定に民意を単に反映させるだけではなく、断片的・流動的な民意からいったん距離をおいて、熟議により整合性のある政策を形成するという機能もある。このような議会制の固有の意義を認めつつも、人々の多様な意見や利害を政策に反映するプロセスの不足を補うためには、別の諸制度を組み合わせることが求められる。本稿では、多元的な政治主体の抑制と均衡により、権力の濫用を防止する統治機構として評価されてきた混合政体を、現代の民主主義に応用しようとする共和主義理論を手掛かりにして、様々な参加のチャンネルを重層的に組み合わせる政治システムの可能性を検討する。

【判例研究】

  1. 国外で出生した婚外子の市民権取得に関する移民国籍法の性的区分が修正5条の平等保護に違反するとされた事例 ―Sessions v. Morales-Santana, 582 U.S. _ (2017); 137 S.Ct.1678 (2017)― 大江一平(東海大学 准教授)(35) 公開日:2018/3/28
  2. 〔要旨〕 グローバル化が進行する現代社会においては、国籍法間の抵触を解消することが求められる。特に、移民国家であるアメリカ合衆国においては、合衆国市民と外国人の間に国外で出生した婚外子の合衆国市民権取得をめぐる派生的市民権の問題がしばしば大きな争点となってきた。そこで、本稿では、合衆国市民の父親の婚外子が市民権を取得する際に、その父親に長期の居住要件を課す移民国籍法(INA)§1409(a)および(c)が修正5条の平等保護に違反するとした連邦最高裁のMorales-Santana判決(2017年)を取り上げて考察する。本件判決の意義は、移民法制について政治部門の幅広い裁量を認める絶対的権限の法理を緩和して高次の審査基準を適用し、「子どもの養育を行うのは母親である」という性的ステロタイプを退けて平等保護を徹底した点にある。

著者の所属は発行時のものです。